信州立科から広がる二つの物語― 五輪久保と牛鹿、りんごが結ぶ自然と人の絆 ―

長野県の東部、浅間山と蓼科山に抱かれた高原の町――立科町(たてしなまち)。
ここは、日本でも屈指のりんご産地として知られています。

なかでも「五輪久保(ごりんくぼ)」の名は、長野県内はもちろん、全国の果樹関係者や愛好家の間で広く知られています。
この地域は、昼夜の寒暖差が大きく、りんごの糖度を高め、果皮を鮮やかに染め上げる日本有数のりんご産地です。
サンふじの無袋栽培発祥の地として知られ、今や“立科りんご”の象徴ともいえる存在です。

しかし、その五輪久保に隣接する「牛鹿(ushiroku)」にも、古くから脈々とりんご栽培の歴史が受け継がれてきました。
アップルアートの畑は、まさにその五輪久保の隣。
地形も、標高も、風の抜け方もほとんど変わらない同じ条件の中で、同じ太陽と風を受けながら、毎年りんごを育てています。

だからこそ胸を張って言えるのです。
五輪久保と何ら変わらない、いや、それ以上に想いのこもったりんごを育てていると。

■ 五輪久保がりんごの名産地となった理由
標高が生む、糖度と色づき

五輪久保は標高700〜900mの高原地帯にあり、昼夜の寒暖差が大きい地域です。

昼間、強い日差しを受けてりんごは光合成を行い、糖分を蓄えます。
夜になると気温が下がり、糖の消費が抑えられることで、果実には自然な甘みが凝縮されます。

この昼夜の温度差が、五輪久保のりんごに「濃厚な甘み」と「鮮やかな紅色」をもたらします。

火山性土壌と水はけの良い土地

立科町一帯の畑は、浅間山の火山活動によって生まれた火山灰質の黒ボク土に覆われています。
この土は水はけがよく、適度に保水性もあるため、根の呼吸と生育を助けます。
ミネラルや有機物にも富み、果樹栽培に最適な環境をつくっています。

風通しと日当たりの良さ

五輪久保は南向きの緩やかな斜面に位置し、朝から夕方まで太陽の光をたっぷり受けます。
風通しがよく病害虫の発生も少ないため、減農薬栽培や特別栽培にも適した地域として知られています。

技術と伝統の積み重ね

明治時代からりんご栽培が始まった立科町では、長い年月をかけて生産者同士が技術を磨きあってきました。
剪定や受粉、収穫時期の見極めといった職人の勘が、現在も受け継がれています。
なかでも五輪久保は、「サンふじ」の無袋栽培発祥の地として全国に名を馳せました。
袋をかけず、自然の太陽光で色づける技術は、五輪久保の農家たちが長年の試行錯誤の末に確立したものです。

■ 五輪久保の隣、「牛鹿」から生まれるもうひとつの物語

そんな五輪久保のすぐ隣、同じ標高帯にある地区――それが**牛鹿(うしろく)**です。
地理的にも気候的にも五輪久保と地続きであり、太陽の角度、風の流れ、土の質までがよく似ています。
つまり、環境条件としては、まったく遜色のない“もうひとつの恵みの土地”です。

しかし私たちが目指すのは、五輪久保の模倣ではありません。
五輪久保が築いた伝統と名声に敬意を払いながら、
牛鹿ではより自然と調和し、人の想いが循環するりんごづくりを実践しています。

ここからは、私たち牛鹿の畑で紡がれてきた物語を紹介します。

■ 自然と祈りを込めて ― 伊勢神宮への奉納

アップルアートのりんごは、毎年伊勢神宮へ奉納されています。
これは単なる名誉ではなく、「自然の恵みに感謝し、誠実な農を貫く」という信念の表れです。
農薬を極力抑え、自然の力を生かして育てた果実だからこそ、清らかな神域へ届けることができる。
その想いを胸に、一本一本の木を手入れしています。

■ 復興支援から生まれたつながり ― 気仙沼の牡蠣殻が育む土

2011年の東日本大震災の際、私たちは被災地・気仙沼へりんごジュースを支援物資として届けました。
そのご縁が、いまも形を変えて続いています。

現在、気仙沼の漁師の方々からいただく天然の牡蠣殻を粉砕し、畑に還しています。
牡蠣殻にはカルシウムやマグネシウムが豊富に含まれており、土壌を中和し、根張りを良くします。
さらに、牡蠣殻は土中でゆっくりと分解され、微生物のすみかになります。

この取り組みは、単なる“肥料”ではなく、
海と山、人と人とのつながりを循環させる象徴でもあるのです。

■ 微生物の力 ― 乳酸菌・酵母菌・ナットウ菌による自然循環栽培

私たちは、乳酸菌・酵母菌・ナットウ菌などを独自に培養し、
畑に散布することで有用菌の数を増やす栽培を行っています。

これらの微生物が有機物を分解し、ミネラルを作り出し、根の健康を守る。
それによって病気に強く、味に奥行きのある果実が育ちます。
言い換えれば、りんごの味は土の中の微生物の多様性で決まるのです。

この見えない世界を育むことこそ、私たちのりんごづくりの核心です。

■ 微生物がもたらす味の深みと香りの余韻

この自然循環の中で育ったりんごは、
甘みと酸味が調和し、香りに複層的な奥行きを持ちます。
単に糖度が高いだけでなく、舌の上で変化する“旨み”と“余韻”が感じられる。

それはまるで、ワインやシードルのように、
土地と微生物がつくる“テロワール”の味ともいえるでしょう。

■ シードルへ ― 発酵がつなぐ、土と人の物語

私たちのりんごは、そのまま食べて美味しいのはもちろん、
**シードル(りんご酒)**としても大きな可能性を秘めています。

土の中で育まれた乳酸菌や酵母菌は、果実の中にも息づき、
発酵の際にその土地特有の香りや味わいを生み出します。
牛鹿のテロワールを映し出すクラフト・シードルをつくることができます。

五輪久保のシードルが「王道の美」を体現するなら、
牛鹿のシードルは「自然発酵の美学」を象徴します。
海の恵み(牡蠣殻)と山の恵み(土壌)が融合した“信州立科のシードル”は、
単なる飲み物ではなく、循環の物語を味わう体験です。

■ お客様へ ― 「物語を食べる」という価値

アップルアートのりんごを選んでくださる方々にお伝えしたいのは、
単なる味や見た目の美しさではありません。

・伊勢神宮への奉納に象徴される“清らかさ”

・被災地との絆が生んだ“循環の力”

・微生物と自然が奏でる“生命の調和”

・五輪久保の名声に寄り添いながらも、新たな一歩を踏み出す姿勢

これらすべてが、ひとつのりんごの中に込められています。

■ 五輪久保と牛鹿 _ 二つの調和、ひとつの未来

五輪久保が日本のりんごづくりの象徴的存在(グラン・クリュ)だとすれば、
牛鹿はその精神を受け継ぐプルミエ・クリュのような存在です。

同じ自然の恵みを受けながらも、
牛鹿では「自然循環」と「発酵文化」を通して、
りんごづくりの新しい可能性を追い求めています。

これからも私たちは、
りんご、ジュース、そしてシードルを通じて、
“信州立科の自然と人の循環”を世界へ伝えることを使命としています。

終わりに ― 自然とともに歩む未来へ

五輪久保の隣で育つ、牛鹿のりんご。
それは、伝統と革新、山と海、人と微生物――
すべてのつながりから生まれる、もうひとつの立科の宝です。

一口かじれば、
その奥に宿る祈りと再生の香りが、
きっとあなたの心にも届くことでしょう。

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📍 会場
銀座NAGANO(東京都中央区銀座5-6-5 NOCOビル1F)

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